りん脱酸銅の腐食への磁気処理水効果

学会誌 銅と銅合金  45巻1号 2006年

2010.3.30 の記事

概要翻訳
飽和CO2と3%のNaClを含有する水の、金属銅の腐食に対する効果が、0.3テスラと0.6テスラの2種類の市販の磁気処理装置と6テスラと7.4テスラの超電導磁石とを用いて調べられた。5度Cから90度Cの間での磁気処理で、プラチナ表面への接触角度が顕著に減少した。銅板から滲出するCu2+の濃度は磁気処理した水(MT)の中では磁気処理していない水(NMT)の中に比べて著しく減少した。このことは水の磁気処理はその中の銅の腐食を抑制するかも知れないことを示している。NMTの中で形成される錆の層は孔状の炭酸銅で成り、MTの中で形成される錆の層は密集した酸化銅で成っていた。酸化銅の層は腐食の進行を妨げる受動層としてふるまうのかも知れない。MTの中での銅板のred(還元)ox(酸化)電位はNMTの中のそれよりも高いところにシフトした。このような銅の電気的な酸化もまた、密集した錆び層が形成されることと共に、MTが腐食の抑制に効果的かも知れないことを示唆した。

論文抜粋

解説

この研究は、水を磁気処理すると銅の酸化が抑制されることをはっきりと示している。
そしてそれは、市販の0.3テスラ程度の磁気処理装置でも起きることが示されている。

この論文に触発された私たちの仲間の水道関係の方が、給湯装置の給水入口側に磁気装置を装着して、銅のバルブなどの腐食がどうなるかを実際に1年間観察した。以下はその報告である。

報告 磁気処理水の銅への防錆効果

この十数年間 人工的に遊離炭酸を通常より多く含む給湯設備のメンテナンス業務にかかわってきました。その中で給湯用の配管材として一般的な「りん脱酸銅管」を使用している事例があり 思わぬ銅の溶出によるトラブルへの対応を迫られてきました。
溶出防止の対応として旧来の確立された手法である「水のPHを中性または弱アルカリに保つように薬液を注入して管理する」ことなどしていますが 出来ればこうした対処療法ではなく 根本的な解決措置が必要だとも思い続けてきました。
昨年の2月から近くの現場で浴室給湯温水器の給水入口回路に磁気処理器を試験的に組み込んでどのような変化が現れるか様子を観察してきました。
温水器内での変化は 汚れの付着状況に注目して観察してきました。これまでは磁気処理効果と断言できる現象は見られずに経過してきました。
ところが一年経過して気づいたのが浴室の混合水栓金具に組み込まれている給湯側「ストレーナ付逆止弁」という部品です。この部品は毎年のように交換していたのがこのところ全く交換が発生していなかったのです。

参考 未使用状態は銅の色がそれらしい(下の写真)。

下の写真はこの2月上旬の定期点検作業で3個の水栓金具から外した「ストレーナ付逆止弁」の様子です。それぞれの状態の違いは 磁気処理開始前の使用期間がそれぞれ違うことを示しています。(新品の状態から磁気処理水を通したわけではないのです。)これまで何度も使用不能になったこの部品を見てきたのですが青銅の逆止弁部が少しザラザラしていて表面の色は赤黒い錆に覆われた状態で材質が脆くなりキャップから破断してしまいます。
それと比べると下の写真の3個の部品は青銅部がそれぞれ違った色合いですが表面がツルツルしていていかにも酸化防止皮膜で守られている様子です。ステンレスのストレーナ網にも新たな錆の付着がなく汚れは進行していません。

この遊離炭酸を含む給湯水では 青銅製の弁などの部品が短期間で締め切り不良などの不具合になっていました。材料表面のツヤはなく緑の粉末に覆われたように見えますが全体に脆くなってしまいます。(下の写真は 磁気処理していない状態で 締め切り不良になった青銅製の電動ボール弁です)

今回の点検作業で確認できたことは以下のようなことです。

1. この磁気処理水には銅の溶け出しを抑制する効果が見られる。
2. この温水器では 水は磁気処理後に大気開放状態でガスの燃焼火炎と直接接触しながら熱交換して60℃程度の給湯水になっているが 防錆効果は有効である。
3. この磁気処理は一度通過するだけで循環処理はしていないが有効である。
4. 確認した水栓部品の状態から磁気処理水の防錆作用は青銅表面に形成される酸化皮膜の違いである。それは 緻密な表面皮膜であることによる。
5. したがって 時間経過とともに未使用品のような表面になることはない(と思われる)。
6. この試験設備では給湯配管に「りん脱酸銅管」を使用しており、確認はできていないが給湯配管全体の防食にも当然ながら作用していると推測できる。

以上 給湯用水栓金具の部品を取り外して実際に確認できた事項です。
2010年2月   M社  Y  記

解説

信州大学と神戸製鋼の研究は、実際に銅の腐食を防止できるかどうかまでは確認していないが、そうなる可能性を強く示唆した。この報告は、その論文を読んで思い立った民間業者が実際に1年間確かめてみた結果である。結果はきわめてポジティブだった。簡単な磁気処理装置を装備することによって、配管の銅部品の寿命が延びることが分かったのである。

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