血圧百寿 シミュレーション

10年先、20年先のあなたの血圧が分かる本

まえがき

血圧は少々高くても心配する必要はありません。血圧は年令とともに上がるものだからです。血圧をむやみに下げては、むしろ健康を害してしまいます。
本書では、年をとると血圧が上がる理由とメカニズムを明快に説明しています。また、現在の血圧基準値には合理的な根拠がないことを明らかにし、血圧降下剤で血圧を下げたら、病気が増えた事例を紹介しています。また、血圧はむやみに下げる必要はないのですが、「年令+90」より上にはあまり上がらない方が良いので、自然な下げ方を説明しています。じっくりお読みいただき、みなさんの健康にお役立てください。

著者 吉岡英介 略歴
1947年 東京生まれ
京大工学部原子核工学科卒
京大化学研究所大学院修了
(株)ケンカンコウ 社長
著書 アトピー解決篇
(鳥影社)1999年
日本新生 さらば核発電
(ドニエプル出版)2012年
目  次

第1部 血圧の生理学

第1章 血圧の分布と変化
1-1 健康の基本は血のめぐり
1-2 血圧のイメージ
1-3 血圧分布と基準範囲
1-4 年をとると血圧は上がる

第2章 血圧上昇のメカニズム
2-1 流体の圧力は何で決まるか
2-2 血圧を因数分解する
2-3 年をとると血管抵抗が増える
2-4 年をとっても血流量は維持される
2-5 血圧の年令変化のシミュレーション
2-6 流体力学の実験
2-7 血圧上昇のメカニズム
2-8 血圧を下降させるメカニズム

第3章 血圧は自然に任せよう
3-1 100才までの血圧シミュレーション
3-2 血管は血圧 185 まで破れない
3-3 血圧は 年令+90 までよい
3-4 下の血圧は気にしても意味がない
3-5 血圧の自然な下げ方
3-6 減塩は無用
3-7 低血圧の改善法

第2部 血圧の社会学

第4章 医療者たちの錯覚
4-1 血圧治療の考えが大転換された
4-2 脳卒中が8倍になった?
4-3 末期腎不全が17倍になった?
4-4 医療者たちの錯覚
4-5 本態性高血圧はブラックボックス
4-6 動脈硬化と高血圧との真の因果関係
4-7 脳出血/脳梗塞と高血圧の因果関係
4-8 腎不全と高血圧との真の因果関係

第5章 血圧降下剤の副作用
5-1 血圧降下剤は血流量を減らす
5-2 血圧を下げたら死亡数が増えた
5-3 隠れ脳梗塞が急増している
5-4 血圧を下げると認知症になりやすい
5-5 血圧を下げたら腎臓が悪くなった
5-6 血圧を下げると緑内障になりやすい
5-7 血圧降下剤で勃起不全EDになる
5-8 ノバルティスファーマ社事件

第6章 不合理な 2019 新基準
6-1 高血圧ビジネス
6-2 押しつぶされた健保連の異議
6-3 正常血圧が 130/80 未満に
6-4 血圧降下剤には新たな認可が必要

本サイトでは第1部だけをアップします。
全部をお読みになりたい方は冊子をご注文ください。1冊500円(税・送料込み)です。

第1部 血圧の生理学

第1章 血圧の分布と変化

1-1 健康の基本は血のめぐり
健康の基本は血液の流れを良好に保つことです。血液の仕事は、体の隅々の細胞まで、酸素と栄養と熱(体温)を届けることです。血流が悪ければ、体は酸素不足になり栄養不足になり、熱が届かず冷たくなってしまいます。血液にはもう一つ大切な仕事があります。それは体の隅々で発生する老廃物を回収してくることです。老廃物を回収して肝臓や腎臓に送り込み、処理して体外に排泄します。血流が悪くなると体内に毒素が溜まって死に至ります。
体のすみずみまできちんと血が通って、酸素と栄養と熱が届けられ、老廃物が回収されて処理、排泄されていれば、人はそう簡単には病気になりません。逆に血流が悪くなれば、病気になり易くなります。
そして体の隅々まで血液を届ける力が血圧です。健康の基本は血のめぐりであり、血のめぐりを生み出すのは血圧です。ですから健康の基本は血圧だとも言えます。

1-2 血圧のイメージ
では血圧とはどんなものか、具体的にイメージしてみましょう。140mmHgとは、水銀の柱を140ミリ、すなわち14cm押し上げる力です。Hgとは水銀の略号です。水銀は重い金属で、比重が血液の13倍あります。ですから水銀柱14cmは、血液だとその13倍の182cmに相当します。人の背丈以上の高さまで、血液を押し上げる力が、人の体の中に普通にあるのです。
他の動物では、たとえば表紙絵のキリンは高い血圧を必要としています。また、ライオンが獲物を追うときは、血圧が上がっているはずです。
筆者は少年の頃、黒澤明監督の映画「椿三十郎」を見て驚愕しました。最後の対決シーンで、椿三十郎(三船敏郎)が抜刀ざま、室戸半兵衛(仲代達矢)の胴を一瞬に切り払うと、半兵衛の胸の当たりから大量の血が、まさに182cmほど天空に向かって噴出したのです。

図1-1

人気の映画でしたから、日本中の人がびっくりして、大いに話題になりました。映画ですから誇張はありますが、血圧にはこのくらいの力があります。そしてもちろん、血管にはそれに耐える構造や力があります。ですから血圧とは、182cm(140mmHg)の噴出は良いが195cm(150mmHg)の噴出はダメ、といった細かい話ではありません。かなりアバウトなものです。就職の面接でも、結婚式のスピーチでも、血圧は上がります。ここぞという時に、血圧は上がった方が良いのです。
ところで上の写真で見守る若侍の向かって右端は田中邦衛、1人おいて3人目は加山雄三です。

1-3 血圧分布と基準範囲
2010年に厚生労働省が調査してNIPPON DATAとしてまとめた研究があります。
図1-2
20代から80代までの男女約3千人の血圧を調べた統計で、調査の事務局をしていた滋賀医科大学のサイトで統計が公開されています。日本の50代以上の血圧分布は図1-2のようになっています。これは、NIPPON DATAで調査された血圧分布比率に、国勢調査の年齢別人口を掛け合わせて、筆者が作ったグラフです。日本の中高年の血圧は130~140を中心にピラミッド型の分布をしています。
では、血圧はどのくらいなら「通常」なのでしょうか。血圧に限らずさまざまな検査値について、「基準範囲」という考え方があり、「95%の人たちが含まれる範囲」を基準範囲とするのが妥当だと、国際的に考えられています。このグラフでは茶色い線の枠内に約95%の人が入っています。50代以上の人の血圧がこの枠内にあれば基準範囲で、普通だと言えます。

日本人の血圧は時代と共に低下してきました。図1-3は、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」のデータです。
図1-3
1960年から2010年まで、血圧は一貫して低下してきています。その理由は、経済成長による衣食住などの生活レベルの向上で、老化のスピードが遅くなったためだと考えられます。交通機関の発達、冷暖房の普及、家庭風呂の普及、防寒衣類の向上、動物タンパクの摂取増加、喫煙の減少、などで老化の進行がゆるやかになり、血管抵抗の増加がゆるやかになってきたのです。そして平均寿命も大幅に延びてきました。また、昔は寒かった気候が温暖化してきたことも、血圧低下に関係しているでしょう。
ただし生活環境の改善が続いたのは、バブル崩壊の2000年くらいまでのことです。ですからそれ以降の血圧低下、特に70代の血圧低下には、血圧基準値の切り下げと、それに伴う医療界、政府、マスコミあげての血圧抑制キャンペーン、そして血圧降下剤の大量使用が関係していると思われます。

1-4 年をとると血圧は上がる
米国フラミンガム市(ボストン郊外)で戦後すぐの1949年から、約50年間継続された調査があります。戦後アメリカ人に心臓病が急増したため、その原因や対策を調べるために行われたもので、調査の場所に人口3万人の、人の出入りの少ない町が選ばれました。世界的に有名な調査です。図1-4はその中の「血圧の年令変化」を1997年にまとめたものです。

図1-4

この調査の大きな特徴は、同一人物をその人が30代から80代になるまで50年以上にわたって継続して観察したことで、そのデータが2036人もあるのです。
調査対象は、調査開始時の血圧別に4つのグループに分けられました。それが4つの点線です。筆者がそれら全部を加重平均したのが緑色の線です。
30代では110から130くらいだった血圧が、4つのグループとも少しずつ上昇して、平均では80才で140近くになり、高いグループでは160を越えています。それでみんな元気に生きてきたのです。50年間生きて来られて、80才を越えたからこそ、継続して調査ができたわけです。70代からは上がり方がゆるやかになっており、血圧が高いグループでは、下降しています。これは心臓から血液を送り出す力が、老化で衰えてきたことを示しています。また、若い頃から血圧が高めだった人は高いまま、低めだった人は低いまま、50年間を過ごしています。これは血圧に個人差があることを示しています。体の隅々まで血液を届けようとすると、どのくらいの血圧になるかは、その人の血管の太さとか体の大きさとかで個人差があるのです。
この時代の米国では、血圧降下剤はほとんど使われていませんでしたし、使っている人がいても、そのデータは注意深く補正されました。ですから自然な変化が集計できています。そして人の血圧は年令とともに上がることがはっきりと示されています。

日本でも先述の NIPPON DATA で、血圧の年令ごとの違いも調べられています(図1-5)。
図1-5

これは約2900人の血圧を同時に測定して、年令ごとの平均値を並べたものです。30才から80才の間に、120から140くらいまで差があり、フラミンガム調査とほぼ同じです。洋の東西を問わず人々の血圧は、年令とともにこのように上がるのです。

第2章 血圧上昇のメカニズム

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