脳の健康を守る脳髄液の流れ

脳髄液は、脳の老廃物を除去している。その流れが悪いと老廃物が溜まり、脳が不調になる。脳髄液の流れを良くする簡単な方法を紹介する。(文責:吉岡英介)

水槽の中の金魚を見てみよう。

金魚を健康に保つには、光と熱と酸素と栄養が必要である。また、水を濾過して排泄物を除去することも必要である。それらの条件が満たされれば金魚たちは寿命まで元気でいられる。
金魚たちの元気がなくなってきたら、上記の条件が満たされているかどうかを調べる。その中でも、老廃物の除去がきちんと行われているかどうかが重要である。魚を飼育している人なら、小学生でも知っている常識である。

脳細胞も水槽の中の金魚と同じである。光(目から)と熱と酸素と栄養が供給され、老廃物が適切に除去されれば、脳細胞は寿命まで元気でいられる。生命の基本はシンプルである
重要なポイントは脳で発生する老廃物の除去が、きちんと行われているかどうかである。老廃物が水槽内に溜まり、水が濁ってくると金魚は元気がなくなる。人間も老廃物がきちんと除去できないと、体に毒が溜まって体調が悪くなり、最悪の場合は死に至る。

脳髄液の循環が重要である
脳も、老廃物の除去がうまく行かなくなると、活動が鈍り、誤作動が起き始める。それまで健全だった脳が不調になる原因は、脳出血や脳梗塞などの血管系の不具合、感染による脳炎、強い打撲や外傷による損傷、などさまざまある。しかしそのような外部的な原因がない場合、たとえば、認知症、うつ、てんかん、頭痛などは、脳の老廃物(余剰電荷を含む)などの除去がうまく行っていないために生じている可能性がある。では脳の老廃物の除去はどのように行われているのか。それは脳髄液の循環によって行われている。脳と脳髄液との関係は、金魚と水との関係と同じであり、脳で発生する老廃物は脳髄液に捨てられる。それしか方法がない。だから脳髄液の循環がとどこおれば、脳は不調になる。

このことは、非西洋的医療である、整体、整骨、鍼灸、カイロ、ヨガ、瞑想、呼吸法などの施術者たちはよく知っていて、脳髄液の循環を改善する施術や体操、マッサージなどを指導して成果を上げている。

ところが現代西洋医学の医療者たちは何も知らない。最先端の「国立がん研究センター」のホームページに次の説明がある。

脳脊髄液(脳髄液)とは脳と脊髄、そしてこれらを包んでいる膜(硬膜)の間に存在する無職透明な液体のことです。役割は明らかではありません。

は? 脳で発生する老廃物は脳髄液が除去しているのである。老廃物の除去は生命体が健全に生きるための基本である。それを知らない。想像もしない。これでは現代西洋医学では、脳髄液の循環不全で生じている不具合は治しようがない。日本では多くの人々が現代西洋医学を信じているが、実は、現代西洋医学の専門家でも、いざ自分の身に原因不明の不調が起きると、整体とか鍼灸とかカイロなどの施術に頼る人がけっこういるのである。

脳髄液循環の原動力=蝶形骨

脳髄液は脳の中央部にある脳室というところで血液から作られて、脳内に湧き出して、脳脊髄全体(頭から腰まで)をめぐって、最後は頭頂部の静脈に吸収される。

何がこの流れを生み出しているのか。それは頭蓋骨と仙骨の微妙な動きである。頭蓋骨は20以上のパーツが組み合わさっていて、生まれた時はフニャフニャだが、成長するにつれて固まってくる。しかし固まってからも、個々のパーツは微妙に動くようになっていて、それが呼吸などの動きにつれてゆっくり動く。その動きによって脳髄液はゆっくりと脳脊髄の中を動くのである。腰骨あたりまで流れて来た脳髄液は、骨盤部にある仙骨という骨の動きで頭部に戻される。
頭蓋内で脳髄液を動かすのに重要な骨は蝶形骨である。蝶形骨は頭蓋の中央部にあって、正面から見ると蝶の形をしている。これが微妙にゆらゆらと動くことで脳髄液の流れが生まれる。

脳髄液の流れを良くする方法がある。それは以下の4つである。

脳髄液の流れを良くする方法 ① 手技
脳髄液の流れを良くする方法 ② 眠る
脳髄液の流れを良くする方法 ③ 笑う
脳髄液の流れを良くする方法 ④ 磁気活水を飲む

以下順番に紹介する。

脳髄液の流れを良くする方法 ① 手技

現代西洋医学ではない系統の医療者たちは、脳髄液の循環の重要性を認識しており、多くの書籍やホームページ、動画で情報発信している。大阪の「のむら整骨院」の野村晃生氏は、自律神経失調症の改善を施術していて、たくさんの動画をアップしている。その1つに「脳内洗浄」というプログラムがあって、手技と呼吸と意識の集中で、蝶形骨の動きを良くして脳髄液の循環を促進し、脳内の老廃物を取り去る方法を指導している。

金沢の自律神経専門整体師中山賢一氏も、脳のオーバーヒートが自律神経失調を起こすとして、脳を冷やす方法を指導している。その中で、笑顔を作ることの重要性を力説している。笑う余裕がなくても、口角を上げて笑顔を作ることが、脳をリラックスさせると言っている。

愛知県豊田市のTEN整体院の伊藤哲氏も脳髄液の循環の重要性を説き、循環をよくする手技を動画で指導している。

東京大田区の宮野治療院の宮野博隆氏は50年来、脳脊髄液調整法という施術を広めており、氏の下で多くの整体師が育っている。

このように非西洋医学では、脳髄液の重要性は広く認識されており、脳脊髄液の循環を改善する手法にも多くの流派がある。

これに対して先に紹介した国立がん研究センターのサイトは次のようになっている。

このように現代西洋医学は、脳髄液にはまったく関心がない。これでは、脳髄液が関係している疾患には、西洋医学は対処しようがない。10年ほど前に、脳脊髄液減少症という疾患が認知された。事故で脊椎に損傷を受けると脳髄液が硬膜外に漏出して減少して、頭蓋の中で脳の位置がずれてしまい、いろいろな支障が起きてくる。これまでは患者がいくら訴えても、そんな病気は医学部で習ったことがない、気のせいだろう、と門前払いされて、保険も効かず患者たちは困窮していた。近年ようやく医療者たちもその疾患の存在を認識したわけだが、このように現代西洋医学は脳髄液に無関心なのである。非西洋医学の医療者たちの「脳髄液の流れを良くすることで脳や神経の不調は改善される」という思考と経験は、西洋医学よりずっと科学的で、実効的である。

脳髄液の流れを良くする方法 ② 眠る

上図は2013年に米国の科学誌サイエンスに発表された論文である。
この研究で、脳細胞は睡眠中に少し縮んで、脳の中にスキマが出来て、そのスキマに脳髄液が入り込んで、脳で発生した老廃物を持ち去る、という循環があることが分かった。

上図は、睡眠中に個々の脳細胞が縮んで、脳髄液が脳細胞のスキマを流れることのイメージ図である。
この研究が関心を持っていた老廃物は、アルツハイマー型認知症を引き起こすアミロイドベータという物質だったが、とにかく昼行性の動物(人間など)は、昼間活動していると脳で老廃物が発生し、それが夜に睡眠している間に、脳髄液によって除去される、というメカニズムが発見されたのである。
老廃物を除去するために大切なのは、脳髄液が脳のすきまに十分に入り込むことで、そのためにはしっかり睡眠を取る必要がある。これは、脳のある動物は、人も犬も猫も鳥も羊も池の鯉も、なぜ眠らなければならないのかという人類の長年の疑問に対する答えである。眠らないと老廃物が溜まって脳が働かなくなるのである。だから人類の脳内では、昼間はセロトニンという物質が分泌されて活動が促され、夜になると自然にそれがメラトニンという物質に変化して、睡眠が促される。これは太陽と月と地球の運行の中で、昼行性動物に与えられた天与のリズムである。リズムから逸脱しては、脳も不調になるしかないのである。
最近は脳髄液の重要性についての科学研究が進んでいて、講談社ブルーバックスから下図のような本も出ている。表紙の絵に、脳を包む脳髄液がきちんと描かれていることが、現代西洋医学の医療者たちが知らない新事実を象徴している。

睡眠はバックヤードである

睡眠時に、脳は、何もしないでじっと休んでいるのではなく、昼間とは別の大事な仕事をしている。脳で発生した老廃物を除去したり、記憶を整理し定着させたりしている。
店舗などで、売場ではない場所をバックヤードという。小売店の商品庫や、飲食店の厨房である。コンビニの売場は24時間明るく忙しく活動しているが、それはバックヤードの活動に支えられている。バックヤードは店舗経営に不可欠である。

人間の、覚醒時の活動と睡眠時の脳の活動との関係は、売場とバックヤードとの関係に似ている。心身の健康を維持するためにバックヤードは重要である。睡眠時間の長さよりも、脳がなすべき仕事を出来ているかどうか、睡眠の質が心身の健康を守るためにきわめて重要である。
ユーチューブにはうつ病の人が動画をたくさんアップして体験を語っているが、一様に見られるのは、睡眠の時刻や時間が不規則で、睡眠の質が悪いことである。睡眠のリズムが狂ってしまい、夜遅くまでスマホでゲームをしていたり、朝起きられず何時間も寝続けたりしている。それは、うつになった結果でもあるが、うつ発症の一因でもある。ここから脱却しなければ、うつの完治はない。逆に、うつの誘因となった社会的ストレスや精神的攻撃を改善した上で、睡眠の質を改善出来れば、心身の不調は解消できる。
飲酒はNO
大阪の「のむら整骨院」の野村氏は、「自律神経を整える5つの条件」という最新の動画で、「寝る前に酒を飲むと良く眠れる」という考えは間違いだと指摘している。酒を飲んで眠っている時の脳波は、軽い麻酔をかけられている時の脳波と同じだとのことである(動画の37分あたり)。たしかに酒を飲むと眠くなる。しかし眠れたつもりでも、 脳は麻酔で停止しているだけである。それは睡眠ではなく昏睡である。睡眠薬で良く眠れた、というのも同じだろう。昏睡状態では、脳はバックヤードの仕事を果たせないのである。これは睡眠というものの本質についての重要な指摘である。

ちなみにこの動画で野村氏は、5つの条件として、言葉、睡眠、アルコール、食事、血液循環を上げている。秀逸な解説なので一見をお奨めしたい。
また、ユーチューブで「Takuzoooの朝の会」を発信しているタクゾー氏は、ご自身がうつ病の治療を受けている。その最新動画でタクゾー氏は、うつを治すには飲酒はやめろ、と力説している。彼はうつを発症する直前、連日大量の飲酒をしていたそうで、それは労働環境からの精神的なプレッシャーがあったためのようだが、そこで突然うつを発症したのである。おそらく脳のバックヤード機能が低下して、脳が回復できなくなったのだろう。

脳が不調ではない時は、適量の飲酒は人生の楽しみとしてあってよいだろうが、脳が不調で回復を目指している時は、飲酒は極力避けるべきである。酩酊しての昏睡、睡眠薬での昏睡、では脳はバックヤードの仕事ができないのである。

脳髄液の流れを良くする方法 ③ 笑う
頭蓋骨の構造から考えると、口を動かせば蝶形骨も動きそうである。接客のセミナーなどで、笑顔が大切だと指導される。笑う気分でなくても、無理にでも口角を上げると良いと言われる。口角を上げると蝶形骨が動いて、脳髄液が流れて精神が安定し、接客もうまく行くのである。
乳児も笑う。下図は「柴犬きなこと道産子夫婦」という動画で、赤ちゃんが柴犬の動作を見てキャッキャと笑っている。

なぜ乳児が笑うのか。笑顔は、相手に対する敵意のないことを示す。だから乳児も、周囲を味方にするために笑うのだ、という説もある。しかし元々、脳を安定的に成長させるために、脳髄液を循環させて新陳代謝を促進する必要があり、蝶形骨を動かす必要があって、乳児も笑うのだとも考えられる。乳児は寝ることが仕事である。笑うことも仕事かも知れない。どちらも脳の発達に欠かせないのである。

認知症やうつ病になると、精神的に不活発になって笑顔が失われる。しかしこれは逆に、笑顔が失われることで蝶形骨が動かなくなり、脳髄液の循環が悪くなって、認知症やうつがひどくなるという、逆因果もありそうである。うつになる人は真面目な人が多い、と言われるが、もともと四角四面な人は、あまり笑うこともなく蝶形骨の動きが悪いのではないか。若い頃から冗談を言ったりしてよく笑う人は、認知症にもなりにくそうである。重い病気から回復するのに笑いが有効だということもある。いずれも蝶形骨が動いて脳髄液がよく流れ、脳が安定すると考えられる。
人類の、他の高等動物にはない大きな特徴は、笑うことである。笑顔を作る表情筋が発達している。だから笑える。他の高等動物は笑わない。笑顔を作る表情筋がないからである。大脳が発達した人類では、脳を正常に作動させるために脳髄液を循環させることが、他の動物たちより重要で、そのためには蝶形骨を動かす必要があり、蝶形骨を動かすための表情筋が発達した。その故に笑顔は、敵意の無いことを示す全人類共通の風習として定着したとも思える。「笑う門には福来たる」という言い伝えはそのことを言っている。笑うことが脳に良いのは単なる精神論ではなく、笑う→蝶形骨が動く→脳髄液が流れる→脳が活性化する、という物理的メカニズムがあると思われる。

脳髄液の流れを良くする方法 ④ 磁気活水を飲む

磁気活水を1年間、日常的に飲用することで、てんかん発作の発生回数が半減した。その1年間の実証研究の概要をアマゾンから出版した。

磁気活水とは何か

磁石の間を通した水を磁気活水と呼んでいる。水が磁石と触れることはなく、水の成分は変わらず、水が磁化するわけではないが、水の性質が変わり、少し活性化する。

通す水は、水道水でも、井戸水や湧き水でも、ペットボトルの水でもかまわない。起きた変化は3~4週間ほど持続する。
磁気活水の性質 細い隙間に入りやすい
2003年の北海道大学の研究で、磁気活水は表面張力が下がっていることが分かっている。

表面張力とは、別の言葉では分子間引力と言う。コップに水を張ると表面が弓なりに盛り上がる。これは、水の分子同士が引き合うからである。このことから分子間引力のことを表面張力ともいう。表面張力が強いと、水滴は葉の上で盛り上がる。表面張力が弱まると水滴は葉にペタッとくっつく。水の分子間引力が弱まり、水と葉との間の引力が相対的に強まるからである。

 

水の表面張力が弱くなると、水は細い管の内壁をつたって進みやすくなり、毛細管現象が起きやすくなる。たとえば、植物は水を吸いやすくなるので、下の写真のように小松菜がシャキッとする。植栽や切り花も元気になる。抽出力が強まるのでお茶やコーヒーがおいしくなり、米粒内への水の浸透が強まるので、ごはんもふっくら炊ける。

この水をいつも飲んでいれば、脳髄液の表面張力が少し下がって流動性が良くなると考えられる。

昆布のダシが良く出る
磁気活水でてんかん発作が減った理由は、単に脳髄液の流れが良くなっただけではないと思われる。その実例として、磁気活水では昆布のダシがよく出る。これは家庭でも体験できるし、ウドン屋では昆布の使用量が大幅に減って、コストが低減されている。なぜ昆布のダシが良く出るのか。コンプの表面は電子顕微鏡で見るとデコボコである。だから、普通の水では昆布と水との間に少し隙間ができて、下図の左のようになる。

ところが磁気活水は表面張力が下がっていて、コンブの表面との親和性が良くなっているので、表面のへこんでいる部分にも水が入り込んで、密着して図の右のようになる。すると、水と昆布との接触面積が大きくなり、その分、ダシが抽出されやすくなる。境界面の密着の度合いを「界面活性」と言う。表面張力が下がるとは、界面活性が上がることである。洗濯や食器の洗剤は界面活性剤である。界面活性が強いと汚れがよく落ちる。それは水が汚れに密着してはがしてくれるからである。
脳髄液が脳溝に良く浸潤する
脳髄液の循環を重視する人々も、自律神経失調とか、うつとか、片頭痛などについては語るが、てんかんについては語らない。単に脳髄液の循環を改善するだけではてんかんは良くならないからである。
脳にはシワがある。シワの山の部分を脳回、谷の部分を脳溝という。この構造は昆布と似ている。てんかんが起きる脳では、なんらかの理由で脳溝が狭窄あるいは閉塞してしまっていて、脳髄液が脳溝の奥まで入りにくくなっている。すると脳の余剰電気が除去(アース)できない。(図の左側)。

磁気活水の飲用で脳髄液の浸潤性が良くなると考えられる。脳髄液の浸潤性が良くなれば、脳髄液が脳溝の少し奥まで届いて、脳の余剰電気が除去(アース)される(図の右側)。するとてんかん発作という電気現象が起こりにくくなるのである。

以上のことから、脳髄液循環の改善①②③④を同時に実践することが、原因不明な脳の不調を改善するのに役立つと考えられる。①②③は自分でできる。④は道具が必要である。当社では磁気活水を作る道具「マイルドシャワー」を希望者に1年間無料でレンタルしている(トップページに申込欄あり)。

 

脳の健康を守る脳髄液の流れ おわり

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